セイコーマート(北海道)の事例~コンビニが農業~
これからの時代は農家が激減する。そして農作物の生産量を維持するには、おそらく異業種、とりわけ小売業が農業に参入してくるのではないか、と考えている。
実際、すでに数年前から、北海道の有力なコンビニチェーンである「セイコーマート」は自社農場を道内に数か所持ち、そこから採れる野菜を
1)直接販売
2)グループ企業で販売
3)加工して販売
している。
「出口」を持っている業種は強い。
ファーストリテイリングも、ニトリも、自社で製造して販売する。居酒屋チェーンのワタミも自社農場をもち、こちらは相当な規模で有機農業を展開している。北海道のホテルチェーンの野口観光も同様。これからはセイコーマートやワタミ、野口観光のような事例は少なくないと思う。
とにかく「出口」を持っている業種は強い。農業への異業種参入の筆頭になるかもしれない。
ブランド作りについて
製品を作るうえではある意味必須と考えられているブランド戦略。しかし、これからの農業においてブランド力がどれほど必要だろうか、と思う。
アメリカにいた頃も、働いていた農場では独自ブランドを持っていた。その農場には専門のセールスが一人いて、毎日、大手スーパーのバイヤーと電話でやりとりして、自社の野菜の価格を交渉していた。
しかし、飽食のころならともかく、これから、農業者が著しく減少し、かつ世界的には人口増加、経済発展に伴って食料不足は免れない状況。ブランド力アップに力を注ぐより、より多くの農作物を生産するかに注力すべきではないかと思う。
そこに意識をむけるよりも、
1)ある程度の品質を維持し、
2)より効率よく、
3)より多くの食糧を生産するか
がこれからの時代の課題だと思う。
2022年度の米の契約にかんして
・コロナ関連の行動制限が解除され、旅行支援などもあいまって米の需要は増えている。
・米の需給環境は元に戻っており、2023年度はかなり回復するか?
・一方家庭用の米消費量は低迷している。
(コメント)
人口減少、食生活の変化、過去の推移などからして、今後20年間でこの消費量は現状の7割くらいまで落ち込むとみられる。
自社のコアコンピタンスは?
マネジメントの勉強をすれば必ず出くわす「コアコンピタンス」という言葉。
他社に真似できない核となる能力。成功を生み出す能力であり、競争優位の源泉となる。
コア・コンピタンス | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI)
「顧客に特定の利益を与える一連のスキルや技術」という規定もある。
農業分野においては、そもそも「競争」という言葉はそろそろ無くなる。プレイヤーが激減し、国の農業や食糧を守っていくには、「競争」ではなく「協力」とか「共生」がキーワードになるからだ。
しかしそこにおいても「コアコンピタンス」という概念が意味をもつ。他に秀でた技術やスキルをもって、それぞれの農業者が協力体制をとるべきと考えるからだ。
我がファームにおけるコアコンピタンスとは何だろう?そしてどんなコアコンピタンスを求めているのだろう?そういうことを真剣に考えるべき時機である。
農協を活用すること
農協は活用すること。活用しないと利用される。
彼らは農家をサポートすることで経営が成り立っているのだから、大いに活用すべし。
昨年(2020~2021)、つがるにしきた農協の津軽北部支店のハウストマトは2ha減ったそうだ。そもそも20haもあるかどうかの規模なのに一気に2haも減ったとなると大変なことだと思う。
おそらくは高齢で引退したのではないかと思うが、空いているハウスが相当あるということになる。これらは利用しない手はない。
また、一昨年までネギの出荷調整作業を地元の選果場でやっていた。そのため高価な根切り機も購入したが、現在は使っていない。加えてスペースも空いている。
こういうのを交渉して使わせてもらうことはたぶん可能。
農協だって機械を遊ばせておくよりは使ってもらって利用料をもらう方がいいに決まっている。
何も高い経費をかけてハウスを建てたり、機械を買ったりしなくても、打つ手はたくさんあるような気がする。
要はアイデアと行動力だと感じる。